日々是好日毎日御元気

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・・・まだ自信ないかも

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『あの男も一緒なのっ』

 主任が立ち上がって言う迫力に圧されてブンブンと頷くと、「なんでよ」と詰られた。

「なんでって・・・えーと」

 なんかマズイこと言ったかな?そう心配になって主任の顔を見上げると、「ああ、もう・・・」とまたあきれたように呟かれて、でもすぐに「仕方ないか」と肩をすくめた。

「宣戦布告しちゃったのはこっちだし、ね」

 どうせ日浦はその気はないんだし。
 となんだか意味のつかめないことを言うから、

「なに?」

 と訊くと、「なんでもないわ」と言って、ちょっと乱暴に椅子を引いて腰掛けた。
 先輩、僕のことなんか主任に言ったんでしょ。
 そのことを聞いてなかった、と思い出したところに「ねぇ」と主任が上目遣いに訊いてくる。
 今まで気がつかなかった、甘い目線。
 僕が近寄ったよりもまた近い距離、肩が触れるくらいのところにある頬。
 その先には今知ったばかりの唇がある。
 柔らかかった、なんてことを思い出したら、そりゃ今度はこっちから手を伸ばして抱きしめて、甘い感触を味わっても怒られないよねとかって、思うじゃない?
 気が付かれないのを幸いに、すっと上げた腕を背中に回してもう少しで頭に手が届く、と言う場面でぐっと寄って問い詰められた。

「3人一緒だったのよね」
「え?」
「朝、3人一緒だったのかって聞いてるの」

 あ、・・・そっち?
 えっと、もう一回キスしてとかじゃないの?
 一瞬止まってしまった腕はとたんに行き場をなくして、「えーと」とかって言いながら頭の上で曲げ伸ばし運動なんかをしちゃったくらいにして。

「・・・どうしたの?」
「いや、ハハハ」

 どうしたのじゃないんだけど、なんて、まだまだ言えないよな。
 と、ちょっとだけ拗ねた気分で笑ってみせる。

 不意にさっき美奈ちゃんが言っていた言葉を思い出した。

『かっこいいわよねぇ』
『あの人の彼氏って、いったいどんな人かしらねぇ』

 ・・・・・僕は。
 まだその自信、ないかも。



 やっぱりいくら押しかけられたからって、さすがに弟さんが僕んちに居るっていうのは気になるよな、と心配そうな顔だった主任を思い出しながらアツアツで湯気のたってる味噌汁を手にした。
 なんだか外に出る気がしなくて、今日は6階の社員食堂に来ていた。
 ウチの会社の社員食堂は結構充実していて、日替わり定食が3種類、肉がメインと魚がメイン、それとダイエットメニューということで、女性ばかりか今話題のメタボリック症候群が当てはまってそうな管理職クラスに人気の豆腐料理がある。今も僕の隣のテーブルでは総務課の部長さんがその豆腐料理を食べていて、よく見ると香ばしい色をしたステーキがメインで僕の選んだチキンステーキよりも美味しそうだ。

「なんだ、今日はここなのか?」

あさりの味噌汁だ、と思っていたところに上から声がかかった。

「・・・取締役?」
「理紗子が外に行ったから、てっきり君も一緒だと思っていた」
「あ、いえ・・・」

 そういえば、佐々木さんと連れ立ってフロアを出て行った主任の後姿を見た。あのあとなんだか顔を合わせ辛くって、ちょうど確認が入っていた新規テナントの企画を読み直していて、声もかけなかった。
 ふーん、とちょっと不満げな声をさせて取締役が隣に座ってきて、え、っと思ってる僕に、「あのさ」とぐっと近寄って訊いてきた。

「祐志、どうしてる?」
「え、ああ荒木さんですか」
「・・・・・朝、普通に出かけてった?」

 心配そうなのは、ただ僕の所に一晩泊まったからというからじゃない。

「いたって普通だと思いますけど」

 取締役のところから出て行ってしまったからだ。

「あの、僕のところには今大学の時の先輩が同居してるんですが」

 失礼します、と断ってご飯を食べながら話すことにした。
 僕のところにあともう一人一緒に住んでる人が居る、と言っておけば余計な心配をかけないですむかと思ったから、そう話したんだけれどそれが後から面倒の一因になるだなんて思っても見なかった。

「その先輩に朝なんにするー?って訊かれたから荒木さんにパンでいいですかって言って、でもってOKだったからパンとコーヒーと、あとはスクランブルエッグだったかな」
「祐志、朝は普段食べないのに」
「結構食べてましたって、なんかね学生の時の合宿みたいとかって言って」

 僕も大学生の自分はこんな生活にあこがれてたんですよね。
 狭い部屋でごろごろと雑魚寝して学校に行ってるんだかなんだかわかんない毎日で、大好きな作家さんがそんな生活を4年間続けてたって、自伝小説で書いてるんですよ。いいなーそういうの、一度やってみたいよなーって思ってたんで、なんか面白いです。
 クスクスと笑って話すと、どうにも納得できないという顔で「祐志がそんなこと言うなんて」とブツブツと零している。

「僕のほうはいつまで居てもらっても構いませんよ。荒木さんの気がすむまで」

 それに、昨日の取締役の様子を見てるとなんかそれほど心配するほどじゃないかなとも思うんですよね。
 もぐもぐと口を動かしながらそう伝えた。

「なんでそう思うんだ?」
「だって」

 あんなに幸せそうな顔になる関係なんでしょう?相手を思うときの取締役の顔、ずいぶんかっこよかったですよ。
 思ったとおりのことを言うと、まんざらでもない顔で「馬鹿を言うな」と横を向いた。

「そういえば、僕の先輩って荒木さんと知り合いだったんですよ」

 コーヒーをまずそうに飲んでいる取締役に言うと、驚いたように顔を上げて、

「誰だ?」

 と訊いてきた。

「六本木の『ANAGURA』っていうスタンディングバーの店長やってる上原って言うんですが」

 僕にしては当たり前のことをさらりと言うと、いっそう驚いた顔をして、

「嘘だろう・・・」

 そんなの信じられない、と呟いた。




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オリジナル小説サイト『SP2XX5』では加筆修正した『日浦君の恋愛事情』をお送りしております。


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