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97%は外見で判断される・・・んだって

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 第一会議室に入ると、そこには中山取締役、香西部長、企画課の西巻課長、それと梶原主任、商品部からは商品開発課の相澤課長がいて、僕の顔を見ると先に席に着いた高野部長の顔をチラリと見てから軽く頭を下げてきた。
 僕はそこで一瞬立ち止まって、「失礼します」と深々と頭を下げた。
 出席者を見ると、商品部からは部長と開発課課長の二人だけで、しかも部長自ら立ち上がっているところを見ると先ほど高野部長が言っていた「私がなにをしていきたいのかきっちり聞いてくれたまえ」は、言葉のあやでもなんでもなくて、本当に部長がプレゼンするんだと思うとちょっと驚いたって言うかなんていうか、そりゃウチの会社を引っ張ってるのはここにいる中山取締役と両部長だって話では聞いてたけど、こうやって目の辺りにするとその緊張感ってのはやっぱりすごくって、絶対に失敗しちゃいけないんだなって思えてくる。

「日浦、どこに行ってたの?」

 主任の隣に座って、「遅れてすいません」と声を掛けると、僕にだけ聞こえるようにちょっと肩を寄せて聞いてきた。

「高野部長のところに」
「高野部長?」

 顔を上げると、プロジェクターを使って映し出したデータを相澤課長に確認しているその人の姿が見えた。主任も同じように前を見て、すぐに僕に目を移してきた。

「何の用だったのよ」
「ええと」

 話して差支えがあるとは思わなかった。でも、なぜかその時とっさに頭に浮かんだのは『諦めないから』の一言で、こくんとその言葉を飲み込むと「いえ、なんでもないんです」と答えていた。

「・・・本当?」

 疑ってるというよりも、何があったのか知りたい、そう言いたげな声がした。
 すっと寄ってくるのが主任だと、その身にまとっている香りだけでわかる。甘すぎなくてきつすぎなくて、爽やかな感じのオリーブ系の匂い。息を吸って、あの、と言いかけたところで、

「では、ご注目ください」

 と高野部長の声が響き渡った。



 市場調査の分析や、新潟市が来年4月に日本海側初の政令指定都市になるとの話から始まって、『マーガン』のデザインコンセプトの話になったときだ。

「男性ファッションの『ラウドネス』が発売から2年目に『ラウドネス・スポーツ』を発表し、ブランド全体のカバー世代が20代から40代まで広がったのに対し、女性ファッションの『マーガン』は20代がメインで固定していた。発表当初はターゲットとなった客層も現在では30代前半となり、デザイン的にも『かわいい』からもう少しコンサバティヴなものを好むようになってきている。従来の『マーガン』愛好者にそれを提示できるブランドが今までウチにはなかったわけだが、ここに来て一クラス上のファッションを提供するべく、次のブランド展開をしていく」

 手元の資料を、といわれて目を落とすとそこには、
『estaime』
 という言葉がゴシック体で印刷されていた。

「エスタミ、これは『愛されてる』という言葉をフランス語にした中から作り出した造語だ。女性がその洋服を身につけると愛されてると感じる、着せたい、着せてみたい服というのがブランドコンセプトになる」
「女性が自分で、ではなくてですか」

 主任がすかさず聞いたのは、受身的な印象に取ったからだろう。僕もそれが気になっていた。

「『ラウドネス』は女性が男性に着せてみたい服、がデザインのコンセプトだ、『マーガン』はかわいいと愛するがそれに当たる。『エスタミ』は大人の女性が「愛される」ことを意識してきて欲しい服、ということになる。ターゲットは30代がメイン、そしてその年代の前後に多いと思われるマタニティも視野に入れる」

 知ってはいたけれど、それをあらたまって聞くと、今までそれを考えた『レディスファッション』はなかったんじゃないかと気付かされた。
子供服からトータルでカバーするブランドはある。男女の差もなく、ファミリーとしてもブランドもある。今回新規出店する新潟のラベール万代には、それがブランドコンセプトになっている「ユニクロ」と「GAP」が既に参入が決まっている。でも、そこに「マタニティ」は存在しない。だからといって高野部長の用意した資料を繰っていくと、マタニティがメインになるわけではないのがわかる。女性が美しく見えるスタイル、体型を「悪く見せない」スタイルの追求、という文章が形を変えて何度も出てくる。

「人は見た目が大事というけれど、データによると97%はまず外見で判断されるそうだ。こればかりが理由だと考えているわけではないが、女性が出産に望む際に自分がどう見られるか、どんなスタイルになるのか、それを気にする部分を少しでも軽減することが出来れば、少子化対策にも一役を担うことができるのではないかと考えている」
「え?」
「・・・そこまで?」

 そこまで話が拡大するの?
 はっとして顔を見合わせたのは僕と主任と西巻課長で、あとはうんうんと頷いている。
 マジすか・・・えーと、マジっていうか、皆さん本気ですか?

「では、試作品が何着か出来ているので今度はそれをご覧頂こう」

 そういうと、会議室のドアまで移動していた相澤課長が「入って」とドアの向こうに声をかけた。
 カチャリ、と音がしたドアから入ってきたのは3人のモデル、モデルといっても多分商品開発課の誰かなんだろうけれど、『マーガン』に比べると襟ぐりの開き方が若干狭くてスクエアなものと、腕のラインがゆったりしているもの、思ったとおりアームホールは大きめにとられていて腕を動かしても引き攣れるような皺が出ないようになっている。
 もう一点はさっき美奈ちゃんが着ていたようなチュニックワンピースで、前合わせがカシュクールタイプで胸のすぐ下のラインで重なってあとはギャザーを入れて膨らんだ形になっていた。

「パターンは新に作り直した。全部で3種類用意している。それには大手下着メーカーと協力して、30代前半の女性の平均値を元にしている。また、タイアップ商品も発売予定だ。それと」

 そういうとプロジェクターの画面が変わって、3人の女性の顔が映し出された。

「専属モデルとして、各界からこの3名の方にこのプロジェクトにご参加いただくことになった。20代後半のターゲット対象はバイオリニストの佐久間レイさん、30代にはタレントの江藤みどりさん、続いて」

そこで取締役が立ち上がると、「はいって戴きますね」と僕達に言って、ドアの向こうにいる誰かを迎えに行った。

「誰かいるの?」
「さぁ」
「日浦も聞いてないんだ」

 高野部長に呼ばれていたのは、その話じゃなかったのね。
 主任がそう言ったのに、僕はすぐに返事が出来なかった。何の話だったのか、僕は話すことができるんだろうか。
 主任に。

「どうぞ」

 取締役に促されて、その人がはいってきた。

「・・・・・えっ」
「うそぉ」
「『エスタミ・グレース』の専属モデルをお願いした、フードコーディネーターの川島涼子さんです」

 レースをふんだんに使った、ノーブルなブルーのドレスを着た涼子さんがそこに立っていた。







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