日々是好日毎日御元気

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これがハイクラスだ

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「どうしてここに」

 呆然とした僕の前で、嫣然と微笑んだ涼子さんは、取締役の腕に自分の腕を絡めてスクリーンの前までやってきた。

「みなさまこんにちは、川島涼子です。今回はこのような晴れがましい役を頂戴して、身に余る光栄でございます」

 チラッと僕の方に目をくれた後、隣の主任にははっきりとそれとわかるように会釈をして、先にいたモデルの二人をまるで両側に従えるようにすっと背を伸ばして立った。

「ポージングが素晴らしいわね」
「・・・え?」

 ポージング?
 言われて涼子さんをもう一度見ると、少し斜めになって右足を左足にわずかに隠れるくらいに後ろに引いて、上半身は真っ直ぐこちらに向くようにして、手は丁度腰の辺りで軽くまげて指先が合うようにしてしている。ウエストラインがS字を描くようになっていて、なんだかドレスが身体に吸い付くように見えてドキッとした。

「プロのモデルがよくやるじゃない、一番綺麗に見えるように立つ事をポージングって言うのよ」
「へぇ」
「スタイルが単にいいってだけじゃ、洋服は綺麗に着こなせないから。背筋が綺麗に伸びてる、それが大事なのよ」

 以前モデルでもやってたのかしら?
 どこか悔しそうな気配を滲ませて、主任は涼子さんから目を逸らした。
 僕は高野部長が再び立ち上がったのを見て、手元の資料を繰って『エスタミ・グレース』のロゴを探し出した。さっきの『estami』の次に『G』が配置してあるだけのシンプルなもの、これも最初の『エスタミ』と同じくゴシック体なので、これからデザインを起こすということなのかもしれない。

「『エスタミ・グレース』は『エスタミ』から発展した、大人の女性のための服だ。見てもらっているようにレースやサテンをふんだんに使って、ハイクラスなパーティシーンでも着ていけるようなドレスを展開していく」

 高野部長がそういうと、カシャリと音を立ててスクリーンに新しい映像が映し出された。
 それは何枚ものデザイン画で、涼子さんの着ているブルーをはじめ、ボルドーやゴールドなど、今まで『マーガン』では使っていなかった色の展開がそこにはあった。ドレスといってもほとんどがトップスとボトムズのセパレーツで、同じデザインでパターンがいくつも用意されているからその組み合わせでロングにもパンツスーツにもなるというアイディアが出されている。

「前々から考えていたってことだったけど・・・」

 高野部長はどれほど前からこれを考えていたんだろうか。
 ウチの会社では、女性服は『ラウドネス』の発表から遅れて半年後に発売された『マーガン』が最初で、そしてそれが唯一だった。『マーガン』は若いOLやお洒落に敏感な女子大生の間で話題になって、『ラウドネス』の隣に立つのなら『マーガン』といってもらえるほどになった。
 でも、言われたとおり対象年齢層の幅の狭さは気になっていた。
 女性の服へのこだわりは、男性の比ではない。でもそこは女性服をメインとして扱ってこなかったため、目を向けてこなかったというのもあったと思う。それではいけないんだと考えていたんだろう。
 そこには「危機感」もあったのかもしれない。
 このまま幅の狭い客層相手にデザイン展開していっても、頭打ちになるのは目に見えている。高野部長も言ってたとおり、ブランドとして気に入ってくれた客層は年と共に好みも変わっていくのは十分考えられる。ならそこに自分達が新しいデザインと今までの志向を引き継いで、尚且つ世代に合った服を提供していかないと、他のブランドに客を取られてしまうことになる。
 せっかく『マーガン』と一緒に育った人たちを、みすみすほかに手渡すことはないじゃないか。
 前で話す高野部長の顔を、僕は見つめた。
 この人は、絶対の自信を持って今回のプロジェクトを立ち上げたんだ。
 ちゃんと、応えなくちゃ。



「では引き続き販売戦略の検討に移ろう」

 中山取締役がそういうと、立ち上がってそれまで隣で座っていた涼子さんの手をとった。

「今日はありがとうございました、このお礼はまたのちほどさせていただきます」
「・・・あらいいのよ、私はこちらとご一緒できて嬉しいんだもの」

 クスン、と口元の上がった笑みが、僕と主任を指差していた。

「え、お知り合い?」 

 取締役はそういうと、信じられないといった顔で僕と涼子さんを見比べた。
 知り合いも何も・・・・・。
 僕はそういいかけた口をぎゅっと閉じて、黙って頭を下げていた。







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