日々是好日毎日御元気

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勇者ラウリルと赤い風船物語


 勇者ラウリルは、天空の王国アウーラの皇女エルベライトクリスターナが手放した赤い風船を追って、人間界へやってきた。
 人々から聞きづてに、青い森の大きな木に引っかかっていると知って、野を越え山越え谷越えて、青い森の入り口までやってきた。
 そこには白いひげを生やし、ボロボロの着物を着た老人が身の丈よりも長い杖を突いて立っていた。
「勇者よ、どこに行きなさる」
「我は天空の王国アウーラより参ったもの、皇女の風船を追って大きな木のてっぺんまで行く途中だ」
「なるほど、それではこれをお持ちなさい」
 差し出されたのは一本の枝、何の変哲のないそれを、老人は「さぁさぁ」と言ってラウリルに押し付けた。
「ご老体、これは何ゆえ」
「見てわからんかな」
 ホッホッホッ
 ひときわ大きな笑い声がしたかと思うと、手の平よりもわずかに大きいばかりだった枝はむくむくと伸びて、下には根が生え上には葉が茂り、あれよあれよと言う間に立派な一本に木に育ってしまった。
「・・・・・これは」
「そなたはなかなかに良いものを持っておられるようじゃな」
 ぽんぽんと大きく育った幹をたたくと、それに答えるように立派に茂った葉がゆさりと横に揺れた。
「この者は”深層の木”と申してな、それを有するものの精神に反応するのじゃ、己で気付かない心の奥底を、このようにして葉の茂りで目に見えるようにするのじゃ」
 そんな馬鹿な。
 ラウリルがほんのちょっと老人の言葉を疑っただけで、上の葉が枯れてひらりと舞い落ちた。
「ほほう、そなたは人の言葉を疑うということが出来るのじゃな、ならば余計にこれを持っていかれると良いぞ、そなたの心の鏡として、きっと役に立つであろう」
「しかし」
 こんなに大きなものは持って歩けませぬぞ。
 もっともなことを口にしたラウリルに、「ホホホ」と笑うと老人は勢いよくパンパンと両手を打ち鳴らした。
 すると今の今まで見上げるのも大変なほどだった大木は、するすると縮んで先ほどと同じ手の平に乗るほどのただの枝切れになってしまった。
「そなたには理の力でこれを操ることはまだできぬであろう、我がこのものに知恵を授けるゆえそなたは『育て』と言いつけて大きく振るだけでよいとしよう」
「まだできぬとは」
「いづれ、時期が来たらその力はその身体に宿ろうもの、そのための旅となろう」
 老人がそういうと、ざっと一陣の風が吹いて目くらましとなったその後には、今までいたはずの白いひげの老人は跡形もなく消え去ってしまっていた。
「ご老体っ」
 いくら辺りを見渡しても、その身体を再び見ることはなかった。
「力を得るための旅・・・」
 手の中の枝は頼りない重さしかないのに、今はしっくりとなじんでいるようにも思う。それをぎゅっと握り締めて、ラウリルは天空の王国アウーラを臨み顔を上げた。
 その時、はるか頭上をゆらりと漂うものがあった。
「あ、あれは」
 清清しく晴れ渡った青空に、一点だけ鮮やかに赤いの風船が昇ってゆく。たおやかと言っていいようなその姿は、ゆっくりと青い森の向こうに消えていった。
「姫様、かならず手に入れて戻りますぞ」
 腰に携えた剣のわきに、朱房で枝をくくりつけて、風船を追うためラウリルは森に一歩足を踏み入れた。




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たまには息抜きでショートショート(笑)
このじーさんはまた出てきます(ワハハ)
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