日々是好日毎日御元気

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ロールキャベツはトマトソースの味

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「ふーん、なるほどねぇ」

 先輩は僕の話を聞くと、なんだかにやけた笑みを浮かべながらカウンターの奥に引っ込んでいった。

「フーンって、それだけですかぁ・・・」

 結構参ってるんだけどな、そう洩らすとどこのテーブルの注文なのか、アツアツのピザを片手に、もう一方の手にはとろりとしたトマトソースのかかったロールキャベツを持って現れて、

「ほいよ」

 とそのロールキャベツを僕の前に置いた。

「・・・まぁ要するにさ」

 ピザを注文したテーブルへ行く離れ際、すっと僕の耳元に近づくと、先輩はごくごく手短かにずばりと言った。

「お前が煮え切らないってことだよな」



 会社が引けてから、「たまには寄れよ」と言われたその言葉通り、僕は六本木のスタンディングバー『ANAGURA』にやってきていた。 金曜の午後8時というと一番賑わっていそうなものなんだけど、今夜は客の入りが大して多くない。しかも女性客が少なくて、「どうしたの?」と訊くと「『Nebbish』がレディスディだからそっちに行ってるんじゃないか?」とあっさりした答えが返ってきた。店内をグルリと見回すといつもフロアに立ってる睦巳くんの姿が見えなくて、それも「どうしたの」と訊くとあっちに行ってるんだ、と忙しそうに手を動かしながら答えてくれた。
 レディスディがどんなものなのかさっぱりわからなかったけれど、先輩が「若い男目当てのお嬢様ばかりが来るイベントさ」と言って僕の前にウーロン茶を差し出すと、

「お前も行くとスゲー人気なんだろうけどさ」

 マジマジと僕の顔を見ながら言った。

「そんなことないですよ」

 て言うか、今そんなこと考えられるような状態じゃないですから。
 ぼそっと呟くとそれを聞き逃さないで「なんだよ」と問い詰められて、「実は・・・」と話し出した。
 新潟に出張する話とそれを主任が話してくれたときに今自分で思い返してもずいぶん冷たい言い方をしたと思っていること、それと今日もろくろく話も出来ない状況で外回りに出ることになっちゃって、帰ってきたら主任は僕と入れ違いでカタログ用の写真撮りに同行するためスタジオいりしたって聞いて、それなら僕だって外回りに出てたんだからわかってれば連絡とって合流したのにと悔しく思ったこと。
 そうしたら急に、「ロールキャベツ作ってるからさ、食うか?」って聞かれて、先輩の作ったロールキャベツはほんのり甘いトマトソースがベースのむちゃくちゃ美味しいヤツだったって覚えていたから、当然いただきますと返事したんだけれど。
 それがやってきて聞かされた答えは、「お前が煮え切らないからだ」の一言だった。

「何でお前は出かけたんだよ」
「え、ああ・・・取締役に荒木さんが撮影用のネガ持ってるからそれ確認してきてって」
「・・・なに言ってるのかさっぱりわかんねーぞ」
「えっと」
「ネガってなんの?」

 先輩が首をかしげて訊いて来たとき、斜め後ろのテーブルから、「ケイちゃん、ダイキリ」と声がかかって、「はいよ」と威勢のいい声を返すとすぐにライムジュースとシェイカーを手に取った。手際のいい手つきでラム酒を入れると、「甘めがいい?」と聞きながらほんの一匙砂糖を入れた。

「・・・ああ、えーとカタログで使う予定の写真のネガフィルム、ポジ状態で見るのと若干違うからそれで組んであるコメントとバランス確認のためにって」
「・・・・・ますますわかんねーんだけど」

 そう言うと、手にしたシェイカーを背中に放り上げて、くるりと回して目の前で受け取った。

「だからさ、何でそんなのお前がするわけ?」
「なんでって」
「彼女が見てるってのに、なんにも声掛けないで出てったってんだろ」
「・・・まぁ」
「で、その理由がその『取締役』ってのが自分の気になる相手を追いかけろって言う話なんだろうが」
「うん、まぁ・・・」

 そう言われて、「えっ?」と顔を上げた。

「先輩、何で知ってるの?」
「なにを」
「荒木さんと、取締役のこと」
「つーか、中山さんだろ?」

 冷凍室からキンキンに冷えたカクテルグラスを出すと、その液体を一気に注ぎいれてさぁっと霜が降りたように表面がうす白く変わったグラスをトレイに載せた。

「だってさ、『Nebbish』のお客だもん、知ってるって」
「・・・うそぉ」
「お前の知らないこと、結構俺は知ってるっての」

 カウンターを回り出て、ポン、と僕の肩を叩くと先輩はフロアに出て行った。
 僕の知らないことを知ってる?
 それって何、ていうか誰のこと?



 いったいなんなんだ、とフォークを手にしたまま動きもせずに考え込んでいる僕の胸のポケットで、ブルブルブルッと携帯電話が震えだした。

「わ」

 慌てて取り出して出ると、

『日浦君、今どこ?』
「荒木さん」

 後ろがなんだかざわざわと騒がしい音がしている中で、やけに明るい荒木さんの声がした。

『君のいるところに行くから、どこか教えて』

 なんだか急いでいるようなその声にせかされて、六本木の『ANAGURA』にいる、と伝え終わったところで、

「・・・・・荒木さんかよ」

 不穏な声色で先輩が後ろに立っていた。








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