日々是好日毎日御元気

ワタクシの身近に起こったさまざまなことを 面白おかしく(??)お届けしておりますです~~

Entries

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • [No Tag]

何でお前が巻き込まれるんだよ

ブログルポ シェアブログ1に投稿





「・・・そうですけど」

 わ、なんか悪いことでもしたのかな。
 思わずそうビビるくらい、先輩はむっとした顔で僕に近寄ると、

「お前さ、あの人いつまで家においとくんだよ」

 周りには聞こえないようにずいぶんと抑えた声で言って、するりと肩に手を回して隣のスツールに腰掛けた。

「あのな、俺あの人が誰とどういう付き合いしてんのか知ってるわけ」
「・・・ああ、うん」

 取締役のことだよね。
 曖昧に笑って、僕もその事は知ってると口には出さずにアピールしてみる。でも先輩はふん、と鼻先でそれを撥ね付けて、じっと僕の顔を睨むとゆっくり噛み砕くように言った。

「そんな相手が、いるってのに、何で、お前のところに、いなくちゃ、なんないんだよ」
「なんでって・・・」

 改めて訊かれると、なんでだっけ?と我ながらよく思い出せなくて、実のところこれがハッキリしない理由なんだよな、と思いながら「まぁいろいろとあって・・・」と答えをぼかすと、

「いろいろったって、限度があるだろ」

 怒ったように背中をバシンと叩かれた。
 お前がわざわざ引き受けることじゃないだろうが。
 言いながら、先輩はカウンターに手を伸ばして端においてあった煙草を引き寄せた。
 トン、と煙草をカウンターに軽く叩きつけて、顔を出した1本をつまみ上げて口にくわえる。チンと音を立てたジッポーからオレンジ色の炎が上がって、ガツンとまた大きな音を立ててそれをカウンターに押し付けるまで、ずっと黙ったままその横顔にはやっぱり怒気が漂っていて。
 怒られてるんだよな、これってきっちりしっかり、怒られてるんだよな。
 でもなんで僕が、と顔を上げたそこに、「どうせさ、痴話げんかだろ」と言う先輩の声が降ってきた。

「それになんでお前が巻き込まれなくちゃならないのか、って訊いてるわけ」
「巻き込まれるって」
「だって、そうだろ?」

 ぐっと胸元を引かれてまた一層近寄って、息がかかるくらいの場所で先輩が喋りだした。

「荒木さん、こないだの土曜日ずっとここに居たってこないだ言ったろ、その理由ってのがあの中山さんの縁談だって目の前でやられちゃあさ、なんかこっちも放っとけなくて付き合ってたけど俺の場合は半分仕事だし、でもお前は関係ないだろ、巻き込まれるんならお前の彼女って言うか、梶原さんだろうが」

 だいたいあの人も何でお前んとこに転がり込もうって考えるかな、俺が居るってわかった時点で居なくなれよって、ブツブツ言ってるのを耳にしながら、あれ?と思って聞き返した。

「縁談って、でもそれって取締役のじゃなかったんじゃ」

 社長の話だって聞いた。そう、美奈ちゃんとの間に子供が出来たから、自分の結婚式を挙げるときに取締役の結婚式を一緒にだなんてふざけたことを言ってるんだって取締役がはっきりそう言ってた。
 それで荒木さんには誤解だって言ってるっていうのに、当の荒木さんがそれを信じないで逃げ回ってるって。
 違うのか?

「・・・あのさ」

 ふぅ、っと白い煙を横に吐いて先輩が言う。

「俺は目の前で聞いてるわけ。中山さんの親父さんってのが将来のこと考えて身を固めろとかって言って縁談持ち込んで、それに会社のことなんか関係ないって中山さんが突っぱねたって荒木さんに言ったらそこで喧嘩になってさ、仕事に対してそんないい加減だったのかよとかって荒木さんは言い出すし、中山さんはそうじゃなくてちゃんと考えてるんだとかって言うしさ、それがお前の知ってる話とどう絡んでくるのか、そこはわかんねぇけど、お前の縁談なんて知るかって言って追い返したのは荒木さんのほうだし」

 だからさ、と大きな手が頭の上に乗っかって、ガシガシと僕の頭を掴んだ。

「・・・お前は態のいい当て馬みたいなもんなんだって。あの人なに考えてんのかさっぱりわかんないけど、お前のとこに居りゃどう転んだって状況の把握はしやすいだろうしさ」

 でもそれじゃああの梶原さんは、いい気はしないよなぁ。
 先輩のその一言で、主任の不安そうな顔を思い出した。
 仕事のこととか、出張のこととか、そればっかりじゃないんだ。僕のしてること、全てが主任を不安にさせてるんだ。
 お前が煮え切らないからだと言った先輩の言葉の意味が、今やっとわかった気がした。

「そうですよね」
「ん?」
「僕がきちんとした態度を取らないから、主任はあんな顔するんだよな・・・」
「なんだよ、お前らもう拗れてんのかよ」
「いや、そういう訳じゃ」

 拗れるも何も、その前にいろんな事がありすぎてまともに話も出来てない。
 そう呟いた僕の後に、不意に人の気配がした。

「・・・悪かったよ」
「荒木さんっ」
「あ、すいません、俺気がつかなくて」

 慌てて立った先輩に、「いや、お店の人の黙っててって俺が頼んだんだ」と荒木さんは言うと、僕の隣に腰掛けた。

「日浦君」

 何か作りますよ、と言った先輩に、軽いのでいいからと片手を挙げて言うと、荒木さんは僕に向かって正面に向き合って言った。

「上原君の言うとおりなんだよ」








******************************


オリジナル小説サイト『SP2XX5』では加筆修正した『日浦君の恋愛事情』をお送りしております。

FC2ブログランキング ポチッとお願いします!
b-bana


電脳浮遊都市アルファポリスWEBコンテンツ登録 ポチッとお願いします!
alfa1





サーバー・ホスティング






無添加化粧品の美杏香



スポンサーサイト
  • [No Tag]

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。