日々是好日毎日御元気

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ゴールドキウイとウーロン茶

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「え」
「ゴメン、ちょっと聞こえちゃった」

 先輩が奥まで引っ込んだところで、荒木さんはそう言ってニッと笑った。

「彼、君のことが相当心配なんだな・・・っていうか、可愛いって言えばいいのか、あーでもこういうのは日浦君はあんまりいい気はしないのか」

 だよね、と笑うのがどうにも荒木さんらしくなくて、あれ?と思いながら、でも「いえそんなことは・・・」と僕も曖昧な答えしか出来ないでいたんだけれど、そういえば川島さんにも初め僕と先輩が「そういう仲」だとかって疑がってたんだよなぁ、と思うとなんだかそこでうーんと考えたりして。

「あ、マジでゴメン、そんな風に困らせる気じゃなかったんだけどさ」

 うーんと黙り込んだのがいけなかったのか、荒木さんは笑顔を引っ込めるとちょっとだけ僕から離れてスツールに座りなおした。

「でも、さっきの上原君の言ってる事、半分は当たってるんだ。だからやっぱり悪いことしてるよな」

 半分、という言葉を不思議に思って僕が顔を向けると、荒木さんもこっちを向いてポツリと語った。

「君のところにあんまり長くいてもね、そうは思うんだけれど居心地もいいし、・・・そうそう理沙子の事も気になるし」
 
 ほんの少し間が開いたのは、なんだか思わせぶりだ。まるで僕がそうだと気がつくように、ゆっくりと目をそらしたのも気になる。
なんだろう。

「・・・主任、のことですか」
「ああ、君が帰ったあと俺のところに来てさ」

 さらりと言ってくれたセリフに僕はぎょっとして顔を上げた。え、じゃあなに、あのまま居たら逢えたかも知れないってこと?

「君が昨日参ったと言っていた、それらしいことを話してくれたよ」

え。

「・・・主任が?」

 聞き返した僕の前に、「お待たせしました」と言って先輩がグラスを差し出した。荒木さんにはきれいなゴールドの液体の入ったタンブラー、僕にはウーロン茶の入ったロンググラス。

「ゴールドキウイのフィズにしましたよ、夏なら生で作れたけど、ちょっと軽すぎかな」

 先輩の言葉を聞いて、荒木さんはタンブラーの中の氷が美味しそうにパチパチと音を立てているのに目をやって、それから僕のグラスに視線を移した。

「・・・あれ」
「あ、こいつ酒飲めないんですよ」

 だからいっつもウーロン茶なんだよな。
 ニコッと笑顔を向けてきた先輩が、これほど恨めしいと思ったことはない。だって、昨日荒木さんと『飲んだ』ときにはそんなこと僕はひとっ言も言わなかったんだから。きっとなんか言われるんじゃないか、そう思いながらそろりと目を上げると、荒木さんはちょっとだけ口を尖らせて「ふーん」と言った。

「・・・じゃあ、理沙子に言っとかなくちゃ。あいつはザルだからな」

 クスンと笑った表情に、僕はビクリと背中を震わせた。
 いやあの、それは知ってるんです、もう、実際体験させてもらいましたからっ・・・とかって、さすがに実の弟さんには言えないよなぁ。
 だっておまけといっちゃ何だけど、そのおかげで僕は一晩主任と過ごしたんだから、なんて僕がそんなことを頭でぐるぐるさせている間に、先輩が荒木さんの前に陣取ってあっさり言っちゃうしっ

「ああ、こいつそれでこないだの土曜日その『主任さん』のところにお世話になっちゃって、で今度は一緒に新潟行くんでしょ?なんつーか、さすがに俺もこいつのところにいるのってマズイかなと思い始めたとこなんですよ」

 でも、荒木さんが言ってるとおり、居心地いいんすよね。
 そう付け加えたのがなんだかそれこそ「おまけ」で、荒木さんは「こないだの土曜日」というのを先輩がわざと言ってるってのがわかったみたいだ。いや、僕だって今聞いたばかりだから、ピンと来たんだけど。
 そこですいっと顔を上げた荒木さんに、「おまけのついで」とばかりに先輩がこう付け足した。

「でも、こいつその新潟行くの乗り気じゃないみたいで、なんだか梶原さんともめたみたいですよ」
「・・・ッ先輩、なに言い出すんですかっ」
「だって、そう言ってただろ」
「違いますって」

 もう、本当になに言い出すんですかっそんなこと一言も言ってないのに。
 バタバタッと身体をカウンターに乗り出して先輩に手を伸ばそうとしている横で、荒木さんはそんなこと一つも気にしていないってな顔つきで「ふーん、そうなんだ」とタンブラーを取り上げた。

「理沙子とは、高野さんに異動の打診をされたことでもめてるのかと思ってたよ」
「・・・・・え」

 荒木さん、なんでそれを。

「理沙子が俺のところに来たと言ったろ、そのとき理紗子が言ってた」

 くいっと一口で半分は飲んだ口元を手の甲で拭いながらこっちに向いた顔は、ここで最初に感じたのと同じで皮肉っぽく端を歪めて笑っていた。






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オリジナル小説サイト『SP2XX5』では加筆修正した『日浦君の恋愛事情』をお送りしております。


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