日々是好日毎日御元気

ワタクシの身近に起こったさまざまなことを 面白おかしく(??)お届けしておりますです~~

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その日 7月16日 <6>

娘二人を連れて郵便局前まで来て、公衆電話を使っている人を見てもしかしたらと思いついた。
携帯電話が災害時には真っ先にかかりづらくなるのはもう経験済みだ。3年前の中越地震の時にも、携帯電話はすぐにかからなくなったけれど会社の固定電話は通じたのだった。
「家にかけてみるね」
公衆電話を使っていた女の人は、すぐに受話器を置いて立ち去った。私の顔を見て、かからないわよ、と教えてくれたがそれは自分で試してみないとわからない。
財布の中には10円玉は2、3枚しかなく、100円玉とありったけの10円を入れて自宅の電話番号を押した。ほどなくして呼び出し音が聞こえてきて、「はいっ」と息を切らした義母の声が聞こえてきた。
「お母さん、大丈夫だった?」
「私は外にいたから大丈夫だったよ、テーラーから落ちそうになったけど、そっちは?」
テーラーから落ちそうになったって。
そっちはときかれて、娘の顔を見た。
「こっちは大丈夫、2人とも今一緒にいるから、遅くなるだろうけどとにかく一緒に帰るから」
それよりも家は?と聞いて、自宅に電話しているのだから家がなくなったというのはないな、とは思っていた。
「ああ、大丈夫、テレビもパソコンも倒れなかったし、給湯器も壊れてないし」
ここで給湯器が出てきたのは前の震災の時に給湯器が斜めになって水漏れして、空焚き状態になったことがあったからだ。その所為か3年たった今年、とうとうお湯を沸かさなくなってしまい1ヶ月前に新しくしたばかりだった。
自宅が無事だとわかったところで、主人のほうに電話したかどうかを聞いてみた。
「何度電話してもかからないよ」
山の中に行っているから心配なんだけど。
義母はそういうと、とにかく無事に帰ってきなさい、気をつけてねと言って電話を切った。
「おばあちゃんどうだった?」
2人の娘はそろって聞いてきて、無事だと伝えると安心した顔になった。道には人が出てきていて、車も何台か走っているのが見えた。
「お父さんに電話してみて、こっちじゃかからないから」
私の携帯電話では、何度かけても繋がる気配がなかった。家族中auなのでCメールを送ってみたけれどそれも届かなかった。

郵便局から店までは信号を越えて100メートルくらいしか離れていない。やっとのことで店の裏の駐車場について、膝くらいの高さしかないブロック塀のところに娘を座らせると、ようやく一息ついた気がした。いつどうなるかわからないので財布の中に残っている小銭を全部出して、道の反対側にある自動販売機でウーロン茶のペットボトルを買えるだけ買うように言いつけた。そのときはまだ自動販売機は使えたのに、そのあと1時間もしないうちにその電源も落ちてしまった。
何回かに分けて店と駐車場を行き来して、まず自分たちの荷物を外に出した。その間も弱い地震が何回か起きて、そのたびに私たちは慌てて外に飛び出した。
電気の落ちた店の中はかなり暗くて、懐中電灯がないとはっきりと見えないくらいだった。さっきまで自分がいたはずのメガネの調整室のあたりはなぜか赤紫の液体が床一面覆っていて、硝子の破片が散らばる中を残していたもう一つのバッグを持って外に出た。
娘のそばまで行った時だ。
ゴーッという音がしたかと思うと、会社のビルの後ろにある産業文化会館の白い建物の上のほうに半分重なるように、三角形の機影が左から右上に移動していった。
「お母さん、戦闘機」
下の子が指をさしたけれど、すぐにそれは見えなくなった。



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