日々是好日毎日御元気

ワタクシの身近に起こったさまざまなことを 面白おかしく(??)お届けしておりますです~~

Entries

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • [No Tag]

荒木祐志の心情 蒼山学院大学編

 料理は真鍋が言うとおり、美味しかった。

「でねー、今度の3連休は軽井沢に行こうと思うのー」
「やだーなにそれー本決まりなんだー」
「合宿?それってみんなで行くの?」
「みんなって言うかー」

 パスタは3種類、一番美味しかったのは大蒜と唐辛子の利いた辛口味のヤツで、でも緑色の幅広麺のクリーム味のも、めちゃくちゃ美味しいミートソース味のもかなりイケてた。

「ねぇねぇ、一緒に行かない?」
「近藤の家の別荘、空くかな」
「親に聞いとく、で?」

 カルパッチョはこれは本場のやりかたで牛肉の薄切りを使っていて、マヨネーズがちょっと強めに効いているのがかなり好み。旨いなーと思ってメニューを見ると、この料理の説明のところに『この料理の名前はイタリアの画家、ヴィットーレ・カルパッチョから貰ったもので、肉とソースの色合いが彼の作品の色遣いを思い起こさせるから』とあるのを読んで思わずにやけた。誰だこんなところでこんな本格的な説明入れてんのは、たかがメニューじゃんか、とニヤリとまたしたところで、不意に見られている気がした。

「何が面白いの」

 へ、と顔をあげると、すぐ隣にさっきの綺麗な人がいた。自己紹介のとき言ってた名前は真行寺麗華、青蘭女子大学の3年であとの3人からは「おねぇさま」と呼ばれていた。透き通った肌にきっちりと弧を描く眉、大きすぎない瞳は父親の雑誌で見た流行のメイクで縁取られてて口元はグロスが光って蠱惑的だ。俺の双子の姉も見られる顔してるけど、間近に迫っても耐えられる顔ってのはそうそう居たもんじゃない。まぁ見たところ、この人はその貴重な部類に入る人種らしい。

「ああ、いや・・・」

 年上だ、というのが頭にあって、どう言葉を使ったらいいのかを迷って語尾があやふやになる。その彼女は俺が手にしていたメニューをすっと取り上げると、表紙からじっくり眺めて次に俺のグラスを見た。

「ウーロン茶?」

 咎めるような声にほんのわずかに混じるのは、面白いおもちゃを見つけた子供のような色。それに気づいて、ちょっとだけ構えて「・・・ええ」と答えると、

「ふーん」

 華やかなピンクのマニキュアで彩られたひと指し指が、メニューを一撫でしてから俺の唇に触れた。

「ダメよそんなの」
「へ?」
「麗華のお酒は飲めないの?」
「は?」

 ぽっかり開いた唇を、その指先がゆっくりとなぞっていく。あのさ、この女いきなりおかしいんだけど、と言おうとして真鍋の顔を捜すと、美恵ちゃんと悦っちゃんに両側を挟まれて五位野って言う先輩と軽井沢の話で盛り上がっている。えぇっ、と思って顔を振るともう一人の先輩である近藤は、知恵と言ってた彼女とほとんどべったりくっついて世界を作ってる。
 え。
 なんだよそれは。
 人数足りないって呼んでおいて、俺はのけ者か?

「ここのお奨めはワインなのよ」

 呆然としている耳に、歌うような声が入ってきた。
 知ってる?イタリアワイン、よく聞くボルドーとかブルゴーニュとかはフランスなのよ、そことは違うのよ、このキャンティ、赤ワインね、美味しいのよぉ果物の香りがしてね、絶対気に入るから。
 状況を見てから言えよ、と思って顔を上げると、うふんと笑った唇がすぐそこにあった。

「ね」
「・・・あの、おれ未成年なんで」
「あら、いいじゃない」

 よくねぇ。
 普段なら、俺が凄んでむっとした顔を見せると、誰だってひるんで近寄らなくなる。それを突破できたのは、真鍋とあの中山先輩くらいのもので。
 まさか泣き出しはしないよな、と思いながら斜に構えてじっと睨んでやると、何を間違えたのかぱぁっと目を輝かせた。

「涼子さぁん、ルフィナくださぁい」
「あ、おいっ」

 涼子さんと呼ばれてやってきたのは真っ黒な長いエプロンをきりりと腰に締めた女の人で、一番最初にテーブル担当だと言って来た人だった。

「困るって」
「なんで?」

 くるんと瞳をひらめかせてそう聞いてきた。もしかして、いやもしかしなくてもこの人は、とっくの昔に酔っ払ってるのか?

「祐志クン」

 絡めてきた腕が俺の腕をぎゅうっと引き寄せて、柔らかい膨らみに当たる。

「麗華と飲も」

 上目遣いの攻撃には、頷くしか道はなかった。



 で、なんでこうなるのか。

「・・・・・なんで」
「あー、おはよう祐志クン」

 見慣れないカーテンの向こう側から朝日が差し込んでる。眩しいと思ってあけた目の下には細い腕があって、俺の胸の上を横たわっていた。
 うそぉ。

「・・・ねぇ」

 化粧を落とすと倍増しでかわいくなった顔がそこにあった。

「おはようのキスは?」

 キス?ていうかなんでキス?ってその前にここってどこよ、なぁおいっ

「慌てちゃって、・・・可愛い」

 チュ。

「うわぁっ」

 キスした、この女、俺にっ

「・・・もう、女じゃなくて麗華」

 ちゃんと名前で呼んでね。
 にっこりと笑った顔は確かに昨日とおんなじ顔だった。だけど何でどうして俺がここにこうしているのかさっぱりわからないまま、上に掛かっていたタオルケットをめくって恐る恐る自分の姿を確認した。いくら酒はあまり強くない方だからといって、まさかそんなことはないだろうと思っていたのに、俺は俺を裏切っていた。
 真っ裸で昨日初めて会った女の人と、ベッドイン?
 ・・・・・うそぉ。

「祐志クンって、結構強引なのね」

 するりと胸の中にはいってきた身体は、どこかで覚えているような温かさと柔らかさだった。甘えるようにすり付いてきたのを無碍には出来なくて、上になった右手でその肩を抱いた。
 なんでこうなるんだよ。
 あーあ、と思いながらその温かさにもう一度目を閉じていった。





電脳浮遊都市アルファポリスWEBコンテンツ登録 ポチッとお願いします!
スポンサーサイト
  • [No Tag]

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

*Trackback

トラックバック URL
»»この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)»»この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ゴルゴンゾーラチーズとくるみの舞茸パスタ

ローズマリーの花初めて咲いてくれましたひまわり絵日記 クリツマさんのお造りになったポークソテーゴルゴンゾーラチーズとくるみの舞茸パスタ黒マイタケ500g 送料無料大SALE中ベネデ...

キャンティキャンティ(Chianti)。 イタリア・トスカーナ州の一地方。 同地方で生産されるワイン。本項で詳述する。 東京都港区 (東京都)|港区麻布台(六本木)にある1960年開店の老舗イタリア料理店。キャンティ参照。----キャンティ (''Chianti'') は、イタリア・トスカー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。