日々是好日毎日御元気

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荒木祐志の心情 蒼山学院大学編

 なんだ?
「結構綺麗って言うか、まぁかわいいよな」
 数多くの人が行きかうキャンパス内を、人のデパックを肩に担いで泳ぐように歩く、中山先輩の足はまっすぐに中央の第一カフェテリアに向かっていた。その後ろを俺は必死で見逃さないようについて行った。
 時々後ろをチラリと見やって、こっちが付いて行くのを確認するような素振りをする。それに気がついて顔を向けると、すぐにそっぽを向いて足の踏み出しがとたんに早くなる。
 なんなんだよ。
 そりゃ、真行寺さんは知ってるし、ていうか知ってるどころの話じゃないし、だからってそれを先輩にとやかく言われるって筋合いじゃないと思うんだけれど。
 というよりも。
 何でこの人が知ってる?
 それを聞きたくて近寄ると、さっと身を翻して表に出ている丸テーブルの間をすり抜けていく。
「・・・わっ」
 俺はそのテーブルに気がつかないでぶつかるところだった。
 まだ1時限が始まったばかりだからこんなところに人がいるわけがなくて、誰もいないところで慌てているなんていうのが余計に恥ずかしくて、顔を上げると先輩が正面に立っていた。
「で?」
・・・で、って。
「どうだった?」
 どうだったってのは、いったい何を聞いてるんだろうか。
 むっと顔を顰めて見返すと、その顔がまるで何でも知っていると言うようににやっと笑った。

 どうもこうもないんだ、本当は。
「ごめんね」
 柔らかい身体を抱いたまま二度寝をして、昼も過ぎた時間に再び目を覚ました時、もうすでに起きて着替えもしていた麗華さんは俺に向かって人形のように首をかしげた。
「なに?」
「・・・ゴメン」
 何がゴメンなのか訳がわからない俺の隣にスルリと寄ってきて、昨日と同じ手触りのよさそうなニットのアンサンブルに包まれた腕を伸ばして首に抱きついてきた。そして、
「ホントは昨日はなんにもなかったの」
 耳元で、うふんと鼻を鳴らして囁いた。
「だって、麗華よりも先に祐志クン寝ちゃうんだもん、オ・シ・オ・キよ」
「えっ」
 おしおきって、なに?
「驚いた?」
 ていうか。
 いや、驚いたというかなんと言うか。
 冗談、ていうかさ。
 元気の出るはずのものが、いきなり萎えたって言うか。
 ――――――――
 ・・・・・うそぉ。
「昨日すんごく美味しいワインを二人で飲んで、盛り上がったのは覚えてる?」
 間近に迫った瞳がきらりと輝いて、気圧されてコクコクと毛布を肩まで被ってうなづく。
「で、私の部屋に来て、ソノ気になっちゃったのまでは本当なんだけど・・・ね?」
「・・・寝ちゃったんだ」
 俺が、と自分自身に指を向けて指すと、にんまりと笑った顔が「そうよぉ」と歌うように言った。

「あれはさ」
 黙ってしまった俺を横目で見ながら、自動販売機でコーヒーを選ぶと落ちてきた一つ目をこっちに放り投げてきた。とっさに手にしたのはミルクたっぷりのカフェオレ、続いて落ちてきたのは真っ黒いラベルのブラックコーヒーで、マジかよ、と目を剥くと、
「あ、間違えた」
 と、ひょいっと缶を取り替えられた。
「僕、苦いの苦手なんだよね」
 クスリと笑いながらカチッと音を立ててプルトップを持ち上げて、この人はいったいなんなんだと疑問符だらけの俺の前でそのカフェオレを一口飲む。「おいしー」なんて暢気なセリフを口にしながら、意味ありげにこちらを見た。
「あれも、苦手なんだよ、あんな顔してさ」
 そこで止まってもう一口飲む。なんだよ、あれって。
「・・・気をつけたほうがいい、あれはお前の相手になる女じゃない」
 そこまで言うと手にしたカフェオレをぐーっと一気に飲み干して、ちょっと離れた大きなドラム缶のような空き缶入れに狙い定めて投げ入れた。
「じゃあな」
 あっけにとられている俺の前でそんな自分の言いたいことだけ言うと、デパックを床においてくるりと背を向けた。
 そうして、えっと声をかける暇もなく、すたすたと立ち去っていく。
 なんなんだよいったい。
 なんだよ、今のは。
「なんだってんだよっ」
 手にしたものを投げつけようと振り上げて、それが貰った缶コーヒーだと気づいて一瞬動きが止まった。
 いつも俺が自動販売機で選んでいるそれは、手の中ですでに温くなり始めていた。








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