日々是好日毎日御元気

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竜巻注意報

「亨、今日は竜巻注意報が出てるわよ」
おはよう、と寝ぼけた声を出した先で、母親がテレビ画面を見ながら言った。左手にはフライパンをもって、右手で指差しているのはK放送局の天気予報、素朴な笑顔が人気のお天気お姉さんが都内近郊の地図上に書かれた半径50キロを示す赤い丸をさして、「確率は20%です」とにこやかに言っていた。
「埼玉のおじさんのときのように、下手なことは考えないほうがいいわね」
母親は、あんたはくだらないことばっかり考えるんだから、と言いたげに僕に振り返った。
「何にも考えないよ」
「うなぎが食べたいなぁ、だなんて思いつくから、あんなことになって」
ぷりぷりと怒っているのは、あの時埼玉のおじさんから大量の生きたうなぎを宅配便で押し付けられたからだった。
4年前の2XX5年、気象庁が人工的に天候管理をし始めてから、晴天ばかりでは『自然』ではないとして時々思い出したように台風や大雨を取り入れて、その中の一つとして『竜巻』があった。しかし天災としてもたらされるのが災難ばかりでは不公平だと言う声にこたえて、天候不順を起す際には一定の割合で『願い事が叶う竜巻』というサービスを始めたのだ。政府管轄のマザーコンピューターが該当範囲内に住む人間の中から無作為に選ばれた人の思念に入り込み、竜巻発生時の希望を瞬時にかなえるというシステムだ。おかげで甚大な被害が起こっても、国民から政府に向けて盛大なクレームが付くことは少なくなった。
ところで母親が怒っているうなぎの話だが、去年の夏、2回目の『竜巻注意報』が出たときにおじさんはふと「うなぎが食べたい」と思いついたそうだ。丁度テレビで土用のうなぎの宣伝をしていたときで、ジュージューと旨そうな音ににゅるんとしたうなぎを連想したとたん、天井を突き破ってうなぎの大群がおじさんの頭に降って来たのだ。
「どうせ降って来るなら、カワイイ女の子がいいよ」
政府は何でも叶えてくれるらしい。そういえば今年に入ってから起こった台風で、10%の確率で盛り込まれた注意報のときに3組の梶原はJリーグの選手に会いたい、と願ったら試合中らしい22人もの選手の一団が空から降ってきたと言う。
「茶髪のロンゲ、ピンクの似合う目のパッチリした子がいいな」
なーんてことは、さすがに叶わないよなぁ・・・と、我ながらとぼけたことを考えたと思った瞬間、ゴウッという轟音とともに家がぶるぶると震えるほどの衝撃があったかと思うと、ほんのりピンク色の暗がりが窓の外を覆いつくした。
「・・・・・」
「・・・享、いったい何?」
母親が恐る恐る声を掛けてきたけど、こう言うのが精一杯だった。

「・・・・・リカちゃん人形じゃねー?」

窓ガラスにびっしりと張り付いているのは無数のリカちゃん人形。みんなどれも同じピンクのミニスカートを穿き、茶髪のパッツン前髪のロンゲ、でっかい瞳が僕に向かって見開いていた。
・・・・・タシカに、リカちゃんは茶髪のロンゲでピンクの似合うカワイイ女の子だけど、これは違うだろー。



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1月16日改稿。
どうも思うに、自分の中の被災経験を「いいものだったよ」という方向に置き換えたいらしい。
と一応分析する。


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